アンティークダイヤモンドを専門に扱うディーラーから見せてもらった袋の中には、200-300ピースものダイヤモンドが収められていました。その中には、オールドマインカットやオールドヨーロピアンカットのダイヤモンドが混在し、どれも現代では見られないユニークな輝きを放っていて、一目惚れでした。話を聞くと、それらのダイヤモンドはすべて、オーストリアの貴族が長年所有していた1対のネックレスにあしらわれていたものだというのです。そんな素敵な物語を聞いて、さらに虜になり、厳選していくつかを譲ってもらいました。
<Old Mine Cut Diamond>
オールドマインカット は17世紀後半に誕生しました。ダイヤモンド原石の自然な形状を最大限に生かし、丸みを帯びたスクエアやオーバルに近い形状にカットされました。現代のカットに比べると、カット面の数が少ないため、柔らかく控えめな輝きを放ちます。ルーペや高度な計測技術がなかった時代に職人の手作業によって仕上げられ、サイズやプロポーションにはばらつきがありますが、この不完全さがむしろ個性となり、同じものが二つとない魅力を生み出しています。
<Old European Cut>
18世紀後半から登場した オールドヨーロピアンカット は、オールドマインカットの特性を引き継ぎながら、カット技術の進化により、より丸型に近づき、均一で強い輝きを生み出すことが可能になりました。その丸型のプロポーションは、現代のラウンドブリリアントカットの前身とされています。ブリリアントカットに比べると、ダイヤモンドに厚みがある形状で、それゆえに奥行き感のある輝きを放ち、現代のカットにはない温もりと時代の趣を感じさせます。
アンティークダイヤモンドの魅力は、その輝きだけでなく、背後にある歴史や物語にもあると思います。まだ電気が普及していなかった時代、ロウソクの柔らかな灯に映える美を追求して生まれたカットには、ノスタルジックな感情が沸き上がります。また、効率性を求める現代では再現が難しい、不揃いで不完全ともいえるフォルムには、唯一無二の個性と稀少性が宿っています。
SOURCE objectsでは、こうした物語を大切に受け継ぎ、さらに未来へ繋いでいきために、現代的なスタイルでリングやネックレスを製作しました。きっと、オーストリアの貴婦人もこれらの新しい輝きを喜んでくれているはずです。